2015年9月22日
長くしがみついていた手が、
痺れてきた。
もう若くはない俺の握力。
元より非力な俺だ。他愛ない俺の握力。
それでも意地と気力でしがみついてきた街、
東京。
最早、帰るべき所はない。
故郷はとっくの昔に捨ててきた。
流れに翻弄され、
流されるままに流されてゆくのか。
落ちるに任せて、
落下するままに落下してゆくのか。
いずれにしても、何処へ?
知る由もない。
今日は西へ向かって流されている。
日が暮れたら名古屋で歌う事になっている。
底の方にドタリと横たわる絶望感。
しつこい野郎だ。
あまりに長く居座ってやがるので、
最早、何に絶望しているのかすら、
ボンヤリと滲んでしまっている。
希望を全くあてにしない人間になりつつある。
希望をバッサリと捨て切った所から、
また別の種類の希望のようなものが
芽生えるのかもしれないぞ、そんな思いが、
これもまたボンヤリと滲んでいる。
目的地にはほどなく到着するだろう。
その先もまた、
引き続き流されてゆくだろう。
流れに任せて。
滲んだ絶望で歌う。
滲んだ希望で歌う。
希望の向こうの滲んだ何かで歌う。
旅は続く。

